新品600万テスラの出口戦略

シケモク暮らし

1.ミニマリストしぶさんと、タイヤのついた巨大スマホ

YouTubeでお片づけ動画を発信しているミニマリストのしぶさんは、どんな小さなモノを買うときも必ず「出口」を考えてから購入するそうです。 お金だけでなく「捨てるエネルギー」まで計算し、一番「楽に手放せるタイミング」をはじめから決めているのだとか。

例えば、彼が愛用しているiPhone。動画撮影から編集まで徹底的に使い倒し、買って1年経つか経たないかの「まだ綺麗で、市場価格が落ちていない段階」でサクッと売却して最新型に買い替えるそうです。実はこれが、一番安いコストで常に最新モデルを使い続けられる究極のコスパ術。

そんなしぶさんが最近、テスラを購入して車上生活を始めたと知りました。 前回の記事で、私はテスラを「車ではなく、車輪がついた最新スマホ」と結論づけましたが、もしこれがスマホと同じであるならば、出口戦略も同じように考える必要があります。

一体、どれくらいで手放すのが一番コスパが良いのか?バリュー投資家目線で、その出口を真剣に計算してみました。

2. テスラは「資産」ではない、ただの超高級な消耗品

まず、投資家としてテスラを評価するときに、絶対に忘れてはならない真実があります。 それは、「スマホの価値は、新型が出たら暴落する」ということです。

トヨタのハイブリッド車などは、5年落ちでも50〜60%の価値を維持することがザラにあります。しかし、EV(電気自動車)の世界は日進月歩。現在の中古車市場データを見ると、テスラは3年で約50%、5年で約30〜40%にまでリセールバリュー(売却価格)が落ち込みます。

つまり、600万円で買ったテスラは、5年後には200万円前後に目減りする計算です。 ……と、ここで私の脳内バリュー投資家が猛烈にツッコミを入れてきました。

「っていうかこれ、資産じゃなくね? もはや消耗品じゃん」

そう、持っているだけでお金を生むどころか、凄まじいスピードで価値が目減りしていくテスラは、資産と呼ぶには難しそうです。4年で電池もOSも型落ちする、「タイヤがついた巨大な最新スマホ(消耗品)」なのです。クワバラ、クワバラ。

全くのおせっかいですが、なんだかテスラを新車で買った知り合いの行く末がちょっと心配になってきました。

3. いつ売るべきか?「4年 or 7.5万キロ」のデッドライン

この過酷な条件下で、いかに傷を浅くし、資金効率を上げるか。 売却する最も効率のいいタイミングは、「新車登録から4年未満、かつ走行距離7.5万キロ手前」です。

理由は、テスラの「一般保証」が4年または8万キロで切れるから。 中古のテスラを買うユーザーの心理になってみてください。 「まだメーカー保証で無償修理できる車」と、「壊れたら自腹の車」では、安心感が天と地ほど違います。そのため、4年・8万キロを超えた瞬間に、買取価格は崖を転がり落ちるように暴落します。

3年目の車検で売るのも手ですが、国や自治体からの「EV補助金」をもらっている場合、通常3〜4年間の保有義務があり、途中で売ると補助金を返納しなければなりません。

したがって、補助金の縛りが解け、かつ一般保証が切れる直前の「4年目・7.5万キロ」が、最も美味しいとこどりで逃げ切れるベストタイミングになります。

4. ローン・頭金の最適解:現金一括で買うな?

では、購入時の資金効率はどうすべきか。 「借金嫌いのバリュー投資家なら現金一括だろ!」と思いきや、テスラに関しては「残価設定ローン(残クレ)を戦略的に使う」のが賢い選択肢となるようです。

なぜなら、テスラは時々「金利0%キャンペーン」や「1%未満の超低金利」を公式に仕掛けてくるからです。

【600万円のシミュレーションケース】

  • 頭金: 300万円(車両価格の50%:設定できる最大値付近)
  • 期間: 4年(48回払い)※売却デッドラインに合わせる
  • 据置率(残価): 30%(約180万円を4年後に後回し)

現金で600万円をドカンと支払ってしまうと、そのお金がキャッシュを生む機会(オルカンや手堅い高配当株での運用機会)を失います。低金利キャンペーン中なら、車に現金を固定せず、手元に残した300万円を年利5%で運用した方が圧倒的に利益効率が高くなります。

さらに4年後、テスラが大幅値下げされて中古相場が崩壊していたとしても、残価設定であれば「180万円」という価値の目安があるため、大暴落の直撃を和らげるクッション(損切りの目安)になります。

5. フルローンという名の「時限爆弾」

一方で、最も危険なのが「頭金ゼロのフルローン」で背伸びして買ってしまうケースです。 これはバリュー投資家の視点から見ると「非常に危険なギャンブル」と言わざるを得ません。

ローンの返済スピードよりも、車の価値が落ちるスピードの方が圧倒的に早いからです。

  • 「デッドクロス」が来ない恐怖: よくある車のローンでは、「毎月返済していけば、どこかで買取査定額がローン残高を上回る(売ればプラスになる)瞬間=デッドクロスが来る」と言われます。もしこれが4年以内に来てくれたら(いちいちチェックする面倒くささはありますが)、速攻で売れば逃げ切り成功です。ですが、テスラは突然の値下げなどで中古相場が急激に動く、値動きの激しいグロース株のような存在。4年や5年経っても、デッドクロスが来る保証はどこにもありません。
  • 恐怖の「残債割れ地獄」: もし価値の暴落スピードが勝ってしまった場合、途中で「維持費がきついから手放そう」と思っても、車を売ったお金ではローンを返しきれません。つまり、「車は手元にないのに、借金だけが残る」という残債割れの状態から抜け出せなくなります。

6. 10年乗り潰して元は取れるのか?

「じゃあ、フルローンで組んで、価値がゼロになるまで10年乗り潰せばいいじゃん!」と思われるかもしれません。

これがトヨタやベンツなどの伝統的なエンジン車なら全然アリです。しかし、テスラは車輪がついたスマホ。ソフトウェアの型落ち、バッテリーの寿命、電子部品の摩耗など、時間が経てば経つほど不具合が起きてくるのは、スマホを使っている人なら余裕で想像できるはずです。10年前のスマホを今、現役でサクサク使うのって、どう考えても厳しいですよね。

しかも、何かの不具合が起きた場合、街の安い修理工場では対応できません。すべてメーカー頼みになり、小さな部品交換ではなく「ユニットごと丸ごと交換」を提案され、修理費用が莫大になるのはテック会社あるあるです。

こうなると、もはや車輪がついたスマホを通り越して「いつ爆発するか分からない時限爆弾」に乗っているようなものだなと感じてしまうのは私だけでしょうか。クワバラ、クワバラ。

やっぱり私は、13年落ちの国産軽自動車でいいわ・・・。

そんなことを思いながら、遠くに広がる新緑の田んぼに目をやる、日曜の昼下がりのきくちゃんでした。

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