日経3000円安の激震と、シケモク投資家の日常
米国の利上げ観測をきっかけにマーケットが荒れ、6月8日の日経平均は3,000円安という大暴落を記録しました。 そんな大嵐のなか、低PBRで財務健全な「シケモク株」ばかりを集めている私の資産は、うっすらオブラート1枚分ほどの下げ。いいんだか悪いんだか、時代に取り残されているような感覚すら覚えますが……これこそが、リアルなシケモク投資家の日常なのでしょう。あはは。 日経新聞には「この下落は熱くなりすぎたAI株の健全なガス抜き」なんて書かれていましたが、それは市場に関係のない記者が書いた、後付けの結果論にすぎないように感じました。
20代の猛烈な経験を換金する「波乗りジョニー」
普段はシケモクを愛する私ですが、たまに「遊び」もします。名付けて、ヘッドライン暴落時の「波乗りジョニー」です。 トランプ関税や地政学的リスクなど、企業の生産性や製品の悪さとは関係のない「外部ニュース」で業界全体が大きく売られたときが、下がった波に乗るタイミング。業界を独占している、または将来的に絶対に外せない半導体前工程の装置メーカーを、万が一失っても耐えられる少量だけ買い、しばらくして株価が戻ったら売り抜ける手法です。世界中をびっくりさせてはすぐにマーケットを宥(なだ)めにかかるトランプ政権と、この波乗りジョニー投資は結構相性がよく、おかげさまで少し前にお小遣いを増やせました。
実は20代の頃、中古の半導体製造装置を売買する商社に勤務していたことがあります。当時私は前工程装置の目利きをしており、世界中の工場が手放そうとしている装置を見つけては買いを入れ、同時に転売先を探す日々でした。 当時は欧米担当だったため、深夜24時過ぎからアメリカ人相手に働き、朝8時半からは事務所で日本人相手に作業、15時からはヨーロッパ人相手に動く。今思えば、年功序列の固定給で昼夜を問わず働き、社長や経営陣を儲けさせるために身を粉にした猛烈な日々でした。 そんな生活をずっと続ける気もなかったので、ひたすら給料と、年の半分以上におよぶ出張で得た手当を貯めまくって退社。その後、金額の小さな部品を扱う個人事業主として独立しました。 当時は「半導体製造装置の知識なんて、もう何の役にも立たない」と思っていましたが、あの時培ったマニアックすぎる知識が、40代後半になってようやく「自分を儲けさせるため」に換金できるようになるとは。人生って本当に不思議なものです。
今回のショックに乗れなかった理由と、隣国の熱狂
そんな半導体製造装置での小さな波乗りが好きな私ですが、さすがに今回のショックには乗れませんでした。政治や事件絡みのショックなら乗れたのですが、今回の動きは「経済の核心」からの地響きのように思えるからです。バブルの根底が不気味に揺らいでいる気がしてなりません。
現在の米国はAIの本場ですが、OpenAIの時価総額(※未上場ながら推定評価額)が日本のGDPに迫るほどの規模と囁かれる状況は、専門家でなくとも圧倒的なバブルを感じさせます。また、アジアで今最も株式市場が活況と言われる韓国も、その中身はサムスンやSKハイニックスに全振りした個人投資家の「信用取引まみれ」だそうです。
商社時代、韓国人のディーラーともよく取引をしましたが、彼らは本当に「熱く、せっかちで、激しい」気質を持っています。彼らが口癖にしていたのが「パリパリチュセヨ(今すぐください!)」でした。毎日ものすごい勢いで電話してきて「今すぐ送ってください!!」と激しく要求され、電話を切りながら「今日も相変わらず激しいな」と思ったものです。 地政学的な歴史が、あの猛烈な精神と一か八かの機動力をDNAに刻み込んだのかもしれません。そして、その国民性と抜群に相性が良いのが「メモリー半導体」です。 メモリー相場はとにかく上下が激しい。在庫がない時は宝石のように高値で扱われて大群が群がり、在庫が積み上がれば突然暴落する。そんなメモリー市場に、個人投資家が信用取引で突っ込んで狂喜乱舞している現状には、少し背筋が凍る気がします。
星屑を集めた宝箱と、未来のバーゲンセール
それに比べると、日本市場にもAIバブルの側面はあるものの、四季報を開けばわかる通り、ギンギラギンのAIやメモリー企業だけではありません。光り輝くスター企業の周りには、鉄鋼や製薬、さまざまな製造業が、低いPBRのまま、雲の向こうで気づかれずに広がっています。
それらの「星屑」を少ない資金で細々と丁寧に拾い集めて、自分の小さな宝箱に入れる。暴落が起きたら多めに拾っておく。そして、それがインフレで箱ごと時間をかけて成長するのを待つ。今すぐではなく、老後のハッピー生活をイメージして、まずは5年、そして10年と複利を信じて入金していこうと思います。 アドレナリンは出ないし、株も爆上がりするわけではないので取り残され感もありますが、こうして自分の知らない企業を調べながらブログを書く時間は、最高の知的な娯楽です。
本日6月12日には、スペースXの(スピンオフ等を含めた)大型の資本取引やIPOの噂などが市場の関心を集めているようです。投資家たちがその資金作りのために優良株を手放すという見方もあり、プロの投資家がAIから宇宙へと資金をシフトするキッカケになるのかもしれません。これがAIバブル崩壊の引き金になるのかどうかは、まだ誰にもわかりません。
ただ、もし本当にAIバブルが崩壊し、半導体関連の優良株が3日連続ストップ安になって70%平気で下落するような「ITバブルやリーマンショック級」の事態が来たら――。 その時は、全力で半導体製造装置株を買いに行ける自分でいたいものです。でも正直言って、一発ドカンじゃなくて半年くらいかけて毎日下がる株を迷わずに買いに行けるのか?大底がわからず、びびって動けなくなるんじゃないか?という懸念もあります。そんな時の保険として日経225とオルカンは毎月自動で積み立てています。前回のリーマンショックみたいに硬直してやられたままになるのか、一世一代のバーゲンチャンスをものにできるのか・・・その時になってみないとわかりません。とにかく今は、ビッグウェーブが来たときに怯まず乗るため、四季報を読み解きながら「素振り」を続けています。


