以前、中古半導体製造装置のブローカーとして働いていた時、CMPの装置としてもっとも人気があったのはEBARAのCMPです。あとはDISCOのグラインダーなどもとても人気でした。どの研磨剤がどの装置に使われているのかを知りたくなったので調べてみました。
どの製造装置にどの素材・ツールメーカーの製品が使われているのか?
半導体の「削る・磨く」の世界を見るとき、絶対に知っておきたいのが「製造装置メーカー」と「素材・ツールメーカー」の持ちつ持たれつの関係(共生関係)です。
身近な例でたとえるなら、この関係はまさに「ジレットやシックのカミソリ」と同じ構造をしています。
- カミソリ本体(ハードウェア):荏原製作所やDISCO、米アプライド マテリアルズ(AMAT)の「製造装置」
- 替え刃・シェービングフォーム(消耗品): 扶桑化学のシリカ、フジミのスラリー、ノリタケの研削パッド・砥石
1. 装置が売れた瞬間から始まる「無限の替え刃ビジネス」
半導体工場(ファブ)が新設されると、まず荏原製作所のCMP装置やDISCOのグラインダといった数億円単位の超高額マシンがドカンと導入されます。これが装置メーカーにとってのフロー収益(一度きりの大きな売上)です。
しかし、一度装置がラインに組み込まれて動き出すと、今度はウエハを1枚磨くたびに、
- スラリー(研磨液)がジャバジャバと洗い流され、
- パッドや砥石が少しずつ摩耗してすり減っていきます。
つまり、ウエハを削れば削るほど、素材メーカーの製品が自動的に買い直され続けるストック収益(継続的な消耗品ビジネス)へと切り替わります。
2. なぜ他社製品に乗り換えられないのか?(高いスイッチングコスト)
「別の安いスラリーや砥石に変えればいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、半導体の製造ラインではそれが極めて困難です。
装置メーカーと素材メーカーは、開発段階から「この装置の回転数・圧力には、この粒径のシリカとこの配合スラリーがベスト」というすり合わせを何年もかけて共同で行っています。 途中で消耗品を別メーカーのものに変えると、ナノ単位の傷(スクラッチ)がついたり、平坦度が狂って数千万円〜数億円相当のウエハが一瞬でゴミになってしまいます。
そのため、一度装置とともに工場のレシピとして認定されると、「怖くて他社製品に変えられない」という強力な参入障壁が完成します。
3. 投資目線でのオイシイ見分け方
- シリコンサイクルの「立ち上がり初期」:半導体メーカーが設備投資を再開するタイミングでは、まず装置メーカー(荏原・DISCOなど)の受注残が急拡大し、株価が先行して動きます。
- 工場がフル稼働する「サイクルの過熱期・安定期」:世界中の工場がフル稼働してウエハを回し始めると、消耗品メーカー(扶桑化学・フジミ・ノリタケなど)の出荷量がピークを迎え、高い営業利益率と安定したキャッシュフローを叩き出します。
装置の売れ行き(受注動向)を見れば、その後にやってくる素材・消耗品の需要予測が立つ――。この連動性を知っておくと、半導体関連株の波乗り取引に活かせるのではないでしょうか。

