【投資コラム④】団塊ジュニア消滅後の日本はどう生き残る?

「コバンザメ型生存戦略」シリーズ、第4回となりました。

・第1回:1位を捨てて「手数料」でリッチになる小国の知恵

・第2回:東アジアを交互に太らせては出荷する「英米の養豚場サイクル」

・第3回:素材・装置の急所を握り「リングの設営責任者」になった日本

「裏方に徹して、リング外の国(ASEAN・インド等)と緩衝材を作れば完璧じゃん!」と思いたいところですが……実は、ジャイアン(アメリカ)の鉄拳以上に冷酷で、絶対に避けられない「タイムリミット付きの巨大爆弾」が日本に埋め込まれています。

それが、「約30年後にやってくる、団塊ジュニア世代の高齢化と人口急減」です。

1、30年後の日本を襲う「静かなるカタストロフ」

今から約25〜30年後、2050年代の日本は、どうなっているでしょうか。団塊ジュニア世代(1971〜1974年生まれ)が70代後半から80代に突入し、社会の主役から退いていきます。

30年後といえば、私自身は77歳。そして我が家の長男は43歳、次男は39歳。

まさに今の子どもたちが、社会のど真ん中で働き盛り・働き手として日本を背負っている時代です。

その頃、彼らが直面する日本の姿は、私たちが生きてきた時代とはまるで違っています。

・現役世代の激減: 街から働き手が消え、インフラや地域の維持すら危うくなる

・国内市場(内需)の物理的な縮小: 日本国内だけでモノやサービスを売るビジネスモデルは、客そのものが減って市場ごと蒸発する

「日本国内で真面目に働き、国内の日本人相手にモノを売って給料をもらう」という右肩上がりの前提は、完全に崩壊しています。

自分の子どもたちが40歳前後になったとき、縮みゆく日本の檻の中で買い叩かれ、疲弊しきってしまう姿は見たくありません。だからこそ、「日本という国、そして我が家がどうやって外から富を引っ張って生き残るか」を今から冷徹に準備しておく必要があるのです。

2、アメリカの養豚サイクルは「約30〜40年周期」


ここで、第2回でお話しした「アングロサクソンの養豚場サイクル」をもう一度、時間の物差しで測ってみましょう。

実は、種付け(育成開始)から出荷(屠殺・解体)までの期間を歴史で数えると、驚くほど規則正しい「約30〜40年周期」を描いています。ある産業がゼロから立ち上がり、世界シェアを支配して巨額の富を溜め込み、覇権国を脅かすレベル(肥育完了)に育つまでに、人間の世代交代と同じ約30年がかかるからです。

【過去の養豚サイクル年表】
◆ 初代・日本豚(約35年サイクル)

・1902年(種付け):日英同盟でロシアを叩く「番犬」として育成開始

・1930年代(肥育):繊維産業や造船で世界市場を席巻

・1945年(出荷・解体):ABCD包囲陣から敗戦・原爆で完全解体

◆ 二代目・日本豚(約35年サイクル)

・1950年頃(種付け):冷戦でソ連に対抗する「工業工場」として再肥育

・1985年頃(肥育):半導体シェア50%超、「Japan as No.1」

・1985〜90年代(出荷・解体):プラザ合意、日米半導体協定、バブル崩壊で干される

◆ 当て馬豚:中・韓・台(約25〜30年サイクル)

・1990〜2000年代(種付け):日本を干すため、サムスン・TSMC・中国WTO加盟を育成

・2018〜2022年(肥育):中国のハイテク台頭、台湾が最先端半導体の9割独占

・2018年〜現在(出荷・解体):対中制裁、100%関税、米国内工場への強制上納

◆ 三代目・日本豚(★いまココ!)

・2022年〜現在(種付け中!):肥えすぎた中韓台を締め上げるため、日本を再び養豚場の主役に再セット

3、次の日本(屠殺)はいつになる? タイムリミットの現実


では、TSMC熊本やラピダス支援など、「三代目・日本豚」として再びエサを撒かれ始めた日本のタイムテーブルはどうなるでしょうか?

今回の再肥育の起点は、2022〜2024年です。ここから計算すると、恐ろしい未来予測が浮かび上がってきます。

・【2024〜2035年頃】:安全な「おいしいエサもぐもぐ期」

アメリカは中国・台湾・韓国の過度な集中を分散させたくて必死です。日本を「最も信頼できる補給基地」にする必要があるため、この期間は理不尽な鉄拳は飛んできません。

齋藤ジンさんやエミンユルマスさんが「日本人よ、気づけ!!」とか「日本株を買え!!」と言っているのはこれを知っているからです。そしてこれを日本人以上に気づいているのは、養豚場を運営している側の国の投資家たちです。

・【2035〜2040年代前半】:警戒すべき「丸々と肥育完了期」

熊本などの先端半導体が立ち上がり、世界シェアを再び握り始めます。米国議会で「日本のせいで米国の産業が脅かされている」「不当な円安だ」と文句が出始めたら、肥育完了の合図です。

・【2045〜2055年頃】:次の「出荷・屠殺」ターゲット(約25〜30年後)

種付けから約30年が経過する2050年前後。

お気づきでしょうか?

「次の屠殺(ハシゴ外し)が警戒される時期」と、「日本の団塊ジュニアが高齢化し、人口がドン底へ向かう時期」は、完全に一致しているのです。

もし日本がここで「日の丸半導体完全復活! 世界一!」とお立ち台でチャンピオンベルトを掲げていたら、ふたたび為替操作やルール変更でガツンとやられ、人口急減とダブルパンチで沈んでしまいます。

私の子どもたちが40歳前後の働き盛りを迎えるまさにその時に、です。

そう、私の子どもたちは、バブルで借金を抱えた私の父親世代と同じ「バブルの快楽と転落の流れ」を体験するということです。しかも、今よりも人口が少なくなり、税金が上がり、貧富の差が広がるであろう環境の中で。

真の長期投資は「大国のレーダーに映らない『日常のインフラ』」に置く

この「30年サイクル」と「人口動態」の現実を前に、私たち個人投資家はどう資産を守り、子どもたちの世代へつなぐべきでしょうか?

答えは、「パチンコと長期投資の完全な使い分け」です。

◆ ハイテク・国策株は「短期のパチンコ」と割り切る

ニュースでは「日の丸半導体復活だ!」「AIバブルだ!」と派手に騒がれます。

もちろん、ジャイアンがエサを撒いてくれている今後10〜15年の間は、その波に乗ってありがたくおこぼれを頂戴するのも良いでしょう。

ただし、忘れてはいけません。そこは「太らされたらいつ出荷されるか分からない養豚場の檻のど真ん中」です。

利益が出たらサッと利確して現金に変える「短期のパチンコ」として割り切り、2040年を過ぎても全財産を置きっぱなしにしてはいけません。

◆ 真の長期投資は「世界中の胃袋」に置く

私たちが子どもたちの未来のために、本当に死ぬまで安心して持ち続けられる資産とは何か?

それこそが、「ジャイアンのレーダーに映らない場所で、世界中の庶民の胃袋をがっちり掴んでいる企業たち」です。

先端半導体には「輸出規制」の棍棒を振り回す大国も、「庶民が今日の晩ごはんに使う調味料やカレールー」を制裁対象にはできません。

ハイテク不況が来ようが米中が冷戦をやろうが、人間は毎日お腹が減るし、一度覚えた家庭の味は変えられないからです。

スイスが人口900万人でも超リッチなのは、「世界中の優良資産から配当を吸い上げる金庫番」だからです。

日本国内の胃袋が半分になるなら、これから人口が増える東南アジアやインドの胃袋からチャリンチャリンとキャッシュを稼いでくれる企業を買い、その果実を日本に還流させればいいのです。

結論:檻の中で稼ぎ、檻の外へ逃がす

生き残るためのルールはシンプルです。

  1. ハイテク・国策株のお祭りは「短期パチンコ」として今後10年でサクッと稼ぐ
  2. 稼いだ利益は、アメリカ一極集中を避け、人口が増える成長国(ASEANやインドなど)の胃袋・生活インフラを押さえた「地味で堅実な企業」へ静かに移し替えて長期で寝かせる

「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」

出荷のトラックがやってくる前に、賢い豚は檻の隙間からスッと外へ抜け出しておく。

では、食品以外にも、ジャイアンの制裁レーダーにまったく映らず、グローバルサウスの日常を支えている「低PBRなシケモク企業」にはどんな会社があるのでしょうか?

いよいよシリーズ完結編!

【投資コラム⑤】ジャイアンのレーダーをすり抜ける! グローバルサウスに潜り込む「最強の低PBRシケモク銘柄」たちへ続く!

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