この世を動かす「OS(イデオロギー)」の歴史

おもしろ国図鑑

齋藤ジンさんの著書「世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ」を読んで、「新自由主義の時代が終わって、これから新しい時代にゲームのルールが変わっていく」と言うことを学びました。〜主義と言うのは、「イデオロギー」(英語・ドイツ語)と呼ばれるそうです。〜イズムとも表現されます。(例:ネオリベラリズム=新自由主義)

齋藤ジンさんの著書を読み、政治や経済というのは、その時代の一番強い覇権国家(ボス)が、その時の自分に都合の良い「社会の運営方針(OS:オペレーティングシステム)」を決めて世界にインストールしているようなものなのだなと知りました。

「Macの次はWindows、その次はまたMac」というように、時代ごとにバグ(格差や不況)が出ると、新しいOSへ書き換えられてきた、そんなOS書き換えの歴史とこれからのイデオロギーがどう変化していくのかについて調べてみようと思い立ちました。

歴代の世界のジャイアンたち(覇権国家)が書き換えてきた「7つのOSの歴史」を、一番逃げられない「国家の収入源(むしり取り方)」と一緒に超ざっくりまとめてみました。

社会のOS書き換えの歴史(一覧表)

時代・OS名覇権国(ボス)主な特徴国家の収入源(むしり取り方)
1. 専制国家管理主義
(古代〜中世初期)
ローマ帝国
中国(漢・唐)
すべては皇帝のもの農民からの容赦ないピンハネ、暴力での略奪        ★バグ:後継者ガチャ失敗、農民・奴隷を苦しめすぎて生産性低下、大暴動による政権崩壊
2. 重商主義
(16世紀〜18世紀)
オランダ
イギリス・フランス
世界の金銀の奪い合い国家公認の海賊・密輸、植民地の強奪 ★バグ:インフレ、貧困、腐敗経済、戦争による赤字、
3. 自由放任主義
(19世紀〜1920年代)
イギリス
(世界の工場)
政府は口を出すな
(自由市場)
貿易インフラの手数料、植民地への押し売り
★バグ:格差爆発、世界恐慌
4. ケインズ主義
(1930年代〜1970年代)
アメリカ
(パクス・アメリカーナ)
不況なら政府が仕事を作れ
(国家管理)
金持ちへの超高増税、国債発行とインフレ
⭐︎棚ぼた:日本はこれで高度経済成長を爆走       ★バグ:スタグフレーション、英国病、オイルショックで爆発
5. 新自由主義
(1980年代〜2010年代)
アメリカ
(レーガン以降)
再び市場の自由へ
(民営化・規制緩和)
一般大衆からの消費税、知財(特許料)ビジネス
★バグ:格差爆発、リーマンショック
6. 中国型国家資本主義
(2000年代〜現在)
中国
(最強の挑戦者)
経済は資本主義
政治は共産党独裁
土地の切り売り、国有企業の独占、デジタル監視     ★バグ:カントリーリスク、不動産バブル崩壊、デフレ
7. 新・産業保護主義
(2020年代〜現在)
アメリカ
(欧米・日本も同調)
安全保障ファースト
(自国第一主義)
ピンポイント関税爆撃、炭素税、デジタル税

各OSのショート解説

OS 1:専制国家管理主義(ローマ帝国・中国)

「お前のものは俺のもの」の元祖。民間ビジネスという概念はなく、道も貨幣もすべて皇帝の生存と軍事のためにありました。奴隷も農民も死ぬまで締め付けて搾取する世界です。

バグ:ボスが腐敗して現場が大暴動を起こすバグ

OS 2:重商主義(オランダ・イギリス・フランス)

大航海時代の「貿易ギャング」スタイル。東インド会社などの国認可ブラック企業に独占権を与え、上前を跳ねました。国家が海賊・盗賊レベル。

バグ:身内びいきと金銀の入れすぎで、国内がインフレで飢えるバグ

OS 3:自由放任主義/古典的資本主義(イギリス)

アダム・スミスの「神の見えざる手」を免罪符に、イギリスが世界中を自由貿易で下請け化。結果、市場が暴走して「世界恐慌」でバグりました。

バグ:自由にしすぎて大格差になり、世界恐慌でクラッシュするバグ

OS 4:ケインズ主義/修正資本主義(アメリカ)

「大きな政府」の時代。金持ちから最高税率90%で毟(むし)り取り、国が仕事を無理やり作って分厚い中間層を育成。日本はこのレールに乗って奇跡の豊かさ(高度経済成長)を手に入れました。トランプ氏を支持しているアメリカ白人層は今も「この古き良きアメリカをもう一度!!」と言っているらしい。

バグ:優しくしすぎてみんながサボり、お金を刷りすぎてスタグフレーション

OS 5:新自由主義(アメリカ:レーガン以降)

「小さな政府」への先祖返り。金持ちや大企業を減税して優遇する代わりに、逃げられない一般大衆から「消費税」を導入。汗水たらすモノ作りから、「金融ルールの胴元」としてショバ代を抜くカジノ資本主義へ移行しました。 (※しかし、モノづくりを中国に任せ過ぎたため、アメリカの国内製造業が空洞化(人件費の高さを理由に中間層の白人の職を奪って発展途上国に与えたため)。安全保障上、極めてまずい状況に陥ります)

バグ:金融カジノ化して格差が再爆発し、リーマンショックで自爆するバグ

OS 6:中国型 国家資本主義(中国)

「経済はマーケットで稼ぎ、政治は独裁で縛る」というハイブリッド。土地をデベロッパーに高く売り、デジタルで国民の財布を24時間監視して1円の漏れもなく徴税するハイテク監視システムです。

バグ:国家が怖すぎて誰も挑戦しなくなり、不動産バブルが弾けて酸欠になるバグ

OS 7:新・産業保護主義(★2026年 現在ここ!)

中国に負けそうになったアメリカが、自由貿易の看板を投げ捨てて突入した最新OSです。その中身は、「中国への全力の嫌がらせ」「身内の強制連行」の合わせ技。

  • 【外への攻撃】 中国製品には100%の「高関税」、エコじゃない製品には「炭素税」の網をかけるなど、ありとあらゆる言いがかりをつけて中国の強みである「安さ」を力ずくでハメ殺します。
  • 【内への囲い込み】 そうして敵を締め出す一方で、巨額の「補助金」をチラつかせて世界中の半導体工場を国内に強制連行。将来にわたって税金をジャブジャブ生み出す「次世代の納税マシーン」へと仕立て上げているのです。

バグ:安い中国を切ったことにより全てのものが高くなる世界的なコスト高インフレ、自国の強化を促すためのばら撒きによる大借金、過保護にされた国内企業が弱くなる(英国病的な感じ)

きくちゃんの学び:目が回るぜ……

歴史を俯瞰すると、ジャイアン(国家)の本質はいつの時代も「その時代に一番逃げられない場所(首根っこ)」に網を張って、富を吸い上げているだけなのですね。

そして今、世界は「新自由主義(自由な市場)」のバグを直すために、「新・産業保護主義(国家の管理)」という最新OSに書き換わった真っ最中ということのようです。

こうして歴史を眺めていると、ミクロ経済のいろんなことが、結局はマクロ経済のほんの「さざなみ」に過ぎないことがよく分かります。

ミクロ経済の動きばかりに一喜一憂していると、マクロ経済の餌食になる。

私のような小さな存在が、こんな歴史的な流れや国家について勉強したところで、別に何かができるわけではありません。自分のやっている投資の金額だって本当に微々たるものだし、こんな大きなスケールでものを見る必要は、本来は無いのかもしれません。

でも、日々激しく上下する株価や、びっくりさせられるようなニュースが多い昨今。

より冷静なメンタルで自分のポジションを構築して、それをブレずにキープし続けるためには、こういう歴史の裏側を知っておくことが、何よりの役に立つと思うのです。

大国の思惑や時代の波に踊らされることなく、地道に、手堅く、自分の足元をしっかりと耕していきたいものです。

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