【狂暴な野武士】【6963 ローム】野武士の魂は売らない──PBR1.16でも見逃せない「築古再生」の精神

シケモク企業図鑑

現在のPBRは1.16。 だから私の得意な「シケモク株」の基準からは外れるのですが……最近、DENSOとの買収話やテックバブルに乗って株価が大きく動いた注目銘柄、それがローム(6963)です。

この会社の最大の強み。 それは、大企業らしからぬ「即決力」と「NOルールで大胆に攻めるワイルドさ」にあると私は思っています。

実は私、2000年代頃に半導体製造装置を販売する会社で、下っ端の下っ端として数年間働いていた時期がありました。当時からロームは、半導体デバイスメーカーの中でも完全に異質な存在。私の脳内キャラクターで例えるなら、「京都のワイルドな野武士」です。

財閥や大資本を背景に持つ東芝や三菱などの大企業は、一流の装置メーカーのエンジニアを高いお金を出して雇います。装置もパーツももちろん新品を買い、しっかり保証をつけてもらう。そして、もし装置に不具合があれば全部メーカーに直させるのが基本でした。 節約や利益率の追求というよりは、「品質」や「信頼性」を盾にして、最終的に自分たちが社内で責任を取らなくてもいいように慎重に立ち回る……そんなお役所的な雰囲気が漂っていました。

ところが、ロームは違いました。 20年も30年も前から新品メーカーに依存せず、「なんでも自分で作って、なんでも自分で直す」人たちだったのです。

例えば、ボロボロの中古装置をアメリカや日本の各地から安く買い叩いてきます。それを自社で解体し、「2個で1つ」「3個で1つ」のニコイチ・サンコイチにして自分たちで直してしまうのです。

当時はまだ、中古の製造装置を「買う」ことどころか「売る」ことさえ躊躇するようなメーカーばかりの時代です。財閥系のお金持ちメーカーから見れば、まるでゴミを漁っているように見えたかもしれません。 でも、ロームは1960年代からアメリカのシリコンバレーに進出していた企業。だからこそ、中古装置を自分で直して利回りを上げる、いわば**「半導体製造設備の築古戸建再生」**のような手法に全く抵抗がなかったのでしょう。

そして、エンジニアの反骨精神もさることながら、商売のやり方も超絶ワイルドでした。

安く中古装置が売りに出た情報を掴むと、瞬時に、何の前触れもなく突然注文書をファックスしてくるのです。これは早い者勝ちのアメリカの中古市場では当たり前のマナーなのですが、当時の日本でそんなことをする会社はロームくらいでした。

でも、本当にすごい(そして恐ろしい)のはここからです。 他社に取られまいと勢いよく注文書を出したあと、社内で話し合って「やっぱやめよう」と気が変わったら、平気でキャンセルしてきます。

これが一番、超怖い。 零細な下請けの中間商社にとって、何千万、何億円規模のキャンセルを食らうことは即・倒産を意味しますから。 こういうえげつないことを平気でやってのける姿は、マジで血も涙もないワイルドな野武士そのものでした。

下請け業者からすれば恐ろしい会社です。でも、うまく扱える営業マンにとっては、値段と条件さえ合えば何億円もの装置を即決で買ってくれるし、買った後は自分たちで直すから文句も言わない、非常に潔い会社でもありました。

今、業績不振に陥っている有名なデバイスメーカーの多くは、官僚主義で社内で責任をなすりつけ合い、最終的に全部業者のせいにして出禁にして問題を終わらせようとします。そもそも「自己責任」というリスクを孕む中古装置など絶対に使いません。(部門の利益を追求するより、大企業の中で自分が失敗して左遷されるのを避けることに全振りしているからです)。

だからこそ、私は当時から個人的にロームを純粋に尊敬していました。 **「出した注文書を平気でキャンセルしてくるからめっちゃ怖い……でも、他人に依存せずなんでも自分たちでやり切るし、会社員なのに会社の利益率を極限まで追求していて本当にすごい」**と。

下請けとしては一瞬も油断できない相手でしたが、**「自分が株主になるなら絶対にこういう会社がいい」**と今でも思っています。

【現在のロームのデータ】

  • PBR: 1.16倍
  • 自己資本比率: 63.8%
  • 利益剰余金: 6,628億円
  • 有利子負債: 4,000億円
  • 営業CF: 839億円
  • 配当利回り: 1.80%
  • 社長:東克己 1964年生まれ。1989年ローム入社。ローム・アポロ株式会社代表取締役社長、取締役専務執行役員などを歴任。技術者出身の叩き上げ。製造子会社の社長を務めた経験から、現場の非効率を見抜く力に長けている。

売上高はしっかり確保しているものの、直近の営業利益は大きくマイナスに沈んでいます。 しかし、これはEV(電気自動車)向けの「SiCパワー半導体」の巨大工場を買収・投資したことによる重い減価償却費(負債の整理)がのしかかっているだけであり、未来に向けた**「健全なマイナス」**です。

現金払いとキャンセルを繰り返して中古の機械を漁っていたあの頃のように、今は有り金をはたいて次世代の覇権を握るために工場を買い、大胆に攻めている真っ最中なのでしょう。

PBR1.16なので完全なシケモク株ではありませんが、あの頃の「野武士の心意気」は健在です。決してゴミにはならない、力強い会社だと確信しています。 正反対の優等生キャラである大資本(DENSOなど)に多額のお金を積まれても簡単にはなびかず、独自の道を往く姿を見て、「野武士魂、ここにあり!!」と膝を打ちました。

市場全体が悲観に傾く暴落時にこそ拾って、戻り売りを狙いたい。そんな強い魅力を持ったキャラクターです。

たぬきチェック:たぬきじゃない。やっぱり本物の狂暴な野武士だった。

さて、最後はお決まりの「たぬきチェック」で締めていきましょう。 「利益剰余金6,628億円」「PBR1.16倍」「足元の営業利益はマイナス沈没」。

シケモク投資のモノサシ(PBR1倍割れ)から見れば、ちょっとお高めの銘柄ですし、一見すると「巨額投資で大赤字を出している、やばいたぬき」に見えるかもしれません。

ですが、当時の現場を知るハンターきくちゃん、断言します。 ロームはたぬきではありません。彼らは、敵を油断させるためにたぬきの死んだふり(赤字)を装っているだけの、牙を研ぎ澄ました「本物の狂暴な野武士」です!

その恐ろしすぎるガバナンスと執念を剥ぎ取ってみましょう。

  • 「4,000億円の借金」は、天下を取りにいくための軍資金: 無借金で現金をツボに溜め込んでお昼寝しているフジッコやフクビのような伝統的たぬきとは、マインドの次元が違います。ロームは次世代の覇権(SiCパワー半導体)を強奪するために、あえて4,000億円もの有利子負債を背負い、斜陽貴族の東芝連合に潜り込み、巨額の工場投資を実行しました。この重い減価償却費による赤字は、のんびりお昼寝しているわけではなく、戦を仕掛けている最中の「前向きな大出血」なのです。
  • 「注文即決・即キャンセル」のDNAは死んでいない: かつて下請けの私を恐怖のどん底に陥れた「何億もの装置をノータイムで注文し、気が変わったら平気でキャンセルする」あの圧倒的な自己責任(自己中?)マインド。デンソーからの1.3兆円の超破格なプロポーズ(買収提案)を「ケッ、大資本のルールに縛られてたまるか!」とバッサリ蹴り飛ばした美談の裏には、あの頃と全く変わらない「他人に支配されたら終わり。泥をすすってでも俺たちの自由と利益を死守する」という、筋金入りの野生のガバナンスが息づいています。

🎯 最終結論!

デンソーが「トヨタ帝国の掟に従う、スマートな超エリートたぬき」だとしたら、ロームは「1.3兆円の札束を顔面に叩きつけられても、ニヤリと笑って刀を抜く、天下御免の『大バカ野武士』」です!(最大級の褒め言葉です!)

株主還元の効率(配当利回り1.8%)だけを見れば、自重堂のような太っ腹な地主たぬきには敵いません。シリコンサイクル(半導体の波)の浮き沈みも激しく、おねだり上手な東芝や三菱とのゴタゴタもしばらく続くでしょう。

でも、「誰にも依存せず、自分の力で未来を切り拓く」というその圧倒的なサバイバル能力は、数ある半導体株の中でも唯一無二。

PBR1.16倍。シケモク道からは少しハズれますが、世界的な大暴落や半導体ショックの巻き添えを喰らって、この野武士が一時的に「血まみれ(株価急落)」になって投げ売りされた瞬間こそ、ハンターきくちゃんでなくても、絶対にそっと拾いに行きたくなる最高の獲物です。

あの頃、ロームの注文書のファックスに怯えていた下っ端の私。この野武士が東芝の血液をローム化させてバイオハザードを起こすその日まで、暴落のチャンスをじっくり待ち伏せしたいと思います!ウホホッ!

皆さんは、この京都のワイルドな野武士の戦、乗る覚悟はありますか?

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