韓国ショックと200兆円国策の虚像:半導体株は「乗り捨てる」気持ちで。

先週金曜日、半導体セクターを揺るがす大きな地殻変動が起きました。いわゆる「韓国ショック」です。

韓国総合株価指数(KOSPI)が一時9%安となり、サムスン電子とSKハイニックスはともに10%超の下落。外国人投資家が午前中だけで3兆ウォン(約3100億円)を売り越すというパニック売りが発生しました。

半導体関連のボラティリティ(値動きの激しさ)を知る人からすれば、「10%の下落」そのものは驚くほどの数字ではないかもしれません。しかし、本当に恐ろしいのは数字ではなく、その背後にある「潮目の変化」です。

これまでグイグイと市場を引っ張ってきた半導体メモリ株から、明らかに資金が逃げ出そうとしている。「流行りのかげり」を示す明確なサインが灯ったのです。

■ 半導体投資における「3つのパターン」

私が半導体関連の株を買うときは、数週間から数ヶ月、長くてもシリコンサイクル(2〜3年)に合わせる程度の短期・中期スパンと決めています。その動機は大きく分けて以下の3つです。

  • ① 政治のヘッドライン(関税問題や地政学リスクなど)による暴落を買い、戻ったところでサッと利確する「波乗り」
  • ② 大暴落のあと、完全に底打ちしたのを確認してから買い、数ヶ月〜数年かけて戻ったところで利確する「大底拾い」

しかし、今回の下落は①でも②でもありません。

  • ③ 熱狂していた「にわかファン」が、急に手のひらを返してアイドルを見放し始めた。

そういう、非常に不気味で冷ややかなストーリー(センチメントの崩壊)を感じるのです。だからこそ、今のこの波にはとても乗る気になれません。

■ 200兆円の「国家コントロール」という幻想

週末を挟んだ月曜日、さらに象徴的なニュースが飛び込んできました。 「韓国政府とサムスン・ハイニックスが、メガプロジェクトに200兆円を投入する」というものです。

自由な市場が人を動かす時代が終わり、国が率先して市場を作り出す「国家コントロールの時代」に入ったのだな、と痛感させられます。かつての歴史を振り返っても、自由主義の時代と、国が管理する時代は数十年おきに交互にやってきます。そして「日本が調子がいいのは、国がコントロールしている時代だ」とも言われています。

とはいえ、国策や個人投資家のセンチメント(心理)なんてものは、本当にあてになりません。

実は、私は20年前、半導体業界の現場にいました。その経験から言わせてもらえば、国がお金を出すプロジェクトで、まともに上手くいった半導体事業を目にしたことがありません。

かつて政府主導で日立・NEC・三菱の半導体をガッチャンコして作った「エルピーダ半導体」や、ソニー・東芝・日立の液晶を集めた「ジャパンディスプレイ(JDI)」の結末はどうだったでしょうか。

■ 生き馬の目を抜く業界に「悠長な役人仕事」は通用しない

鉄道や電話といった、一度作れば長く機能する「インフラ」なら国家主導でもいいかもしれません。しかし、半導体のように生き馬の目を抜くスピード競争が繰領げられる業界は、政府のお金をもらって悠長に働くような人間が生き残れる世界ではないという印象を持っています。

シリコンサイクルの底辺で潰れかけた会社を、底値でがめつく買い漁っては猛スピードで再生させていく――。それこそ「アパホテル」の経営のような、がめつさと圧倒的なスピード感、民間ならではのハングリー精神がなければ、結局は世界に負けて消えていく運命にあります。

それなのに、東芝のように「デカすぎて潰せない」というだけの理由で、預かった税金で永久に生きながらえ、のうのうとしている姿を見ると、本当に忌々しいとすら感じます。ウミ(汚物)を吐き出さず、腐ったまま肥大化する巨大なゾンビに、輝く未来(結果を出し続ける)がある気がしないんですよね。

■ 結論:半導体株は「波乗りで乗り捨てる」

こんな「設備投資の殴り合い」みたいな世界ですから、私の結論はひとつしかありません。

半導体株を買うときは、「波乗りトレードで乗り捨てる」くらいのドライな気持ちで付き合うこと。

私が普段実践しているような、低PBRで財務が健全な「シケモクバリュー株」を探し、長く持って企業の成長を応援する……そんな穏やかで美しい投資が通用する業界では、ないと思っています。

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