シクリカル研究:商社編 シケモク・アイドル・スカウト道!!次のアイドルは誰だ?!

INPEX(資源株)や日本製鉄(鉄鋼)ときて、次は5商社がどんなサイクルで動いているかを学んでみます。

ここ数年、ウォーレン・バフェットが買い増して大騒ぎされ、各社が「過去最高益」を連発している商社株ですが、ここにも独自のサイクルと「罠」が存在するようです。

華やかな商社セクターの「正体」と「過去の歴史的サイクル」を解剖してみます。

商社セクターの正体:「資源」と「投資会社」のハイブリッド

私が20代に所属していた日本の小さな商社は、「モノを右から左へ流して手数料(マージン)を稼ぐ会社」でした。しかし、日本の5大商社のレベルになるとそれは違うそうなのです。彼らは、もはや右から左のブローカーではなく、世界中の企業や事業にまるごと大金を投資してそこから出た利益を得る「巨大な投資会社(プライベート・エグゼクティ・ファンド)」なのだそうです。

そのため、サイクルを見極める難易度は高めです。そこをあえて大きく分けると2つのカラーに分かれます。

  • 資源インフレ型(三井物産、三菱商事):LNG、原油、鉄鉱石、銅などの巨大な権益を持っています。原油高や資源高(インフレ)になると、INPEXと同じように利益が爆発しますが、資源安になると一気に冷え込みます。
  • 生活・非資源型(伊藤忠商事、丸紅、住友商事):食品(ファミリーマートやローソン)、繊維、機械、ITなど、私たちの生活に密着した非資源分野に強いです。資源価格に振り回されにくく、不況期でも利益がガタ落ちしにくい特徴があります。

過去から学ぶ:総合商社の歴史的サイクル年表

商社セクター(ここでは三菱商事をベース)の「お祭りのピーク」と「暗黒期」の流れを時系列に並べました。

❶【天井】2007年〜2008年初頭:資源バブル(大天井)

  • 当時の状況: 鉄鋼編でも出てきた「中国の爆食(BRICsブーム)」により、鉄鉱石や原料炭、原油などあらゆる資源の価格が歴史的な高騰を見せました。
  • 業績と株価: 資源権益を持つ三菱商事や三井物産の利益が爆発し、当時の過去最高益を記録。株価は連日お祭り騒ぎとなりました。しかし、2008年秋のリーマンショックで商品価格が暴落し、お祭りは一瞬で強制終了します。

約8年後・・・

❷【大底(暗黒期)】2015年度:チャイナショック & 資源安地獄(歴史的大底)

  • 当時の状況: 中国経済の減速(チャイナショック)をきっかけに、原油や金属などの市況が壊滅的に暴落。
  • 業績と株価: 資源に依存していた三菱商事と三井物産が、投資した鉱山の価値を帳簿上で削る「巨額の減損損失」を計上。三菱商事は創業以来初の「連結純赤字」に転落し、三井物産も大赤字となりました。「商社不要論」が叫ばれ、株価はボロボロに売り叩かれました。
  • ★バリュートラップを見分ける技術:この時、ただ沈むトラップ株かどうかの分岐点がありました。三菱・三井は大赤字を出しても、「これからは資源だけに頼らない。非資源(食品やインフラ)を育てる」と本気の構造改革をはじめました。また、赤字なのに配当を維持・あるいは微減に留め、株主を見捨てませんでした。

約2年後・・・

❸【プチ天井】2018年:世界同時好景気 & 資源回復

  • 当時の状況: 世界的な景気回復に伴い、資源価格が適正水準まで戻りました。
  • 業績と株価: 構造改革で筋肉質になっていた商社は、資源の復活と非資源の伸びがダブルで効き、一気に過去最高益水準へV字回復。株価も一度山を作ります。

約2年後・・・

❹【プチ大底】2020年:コロナショック & バフェットの登場

  • 当時の状況: コロナによる世界的な都市封鎖で、原油先物価格が一時「マイナス」になるなど資源市況がパニックに。商社の業績も大きく落ち込みました。
  • 歴史の転換点: 株価が誰も見向きもしないほど冷え切っていた2020年8月、投資の神様ウォーレン・バフェットが「日本の5大商社の株を5%ずつ買った」と突如発表しました。ここが世紀の大底となりました。世界のバフェット、やはりすごいです。まるで倒産したホテルを本当の本当の大底で買いに来るアパホテルです。

約4〜6年後・そして現在へ・・・

❺【天井(お祭りのピーク)】2024年〜2026年現在

  • 現在の状況: コロナ後の急激なインフレ、地政学リスクによる資源高、歴史的な円安、そして「バフェットが持っているバリュー株」としての世界的なお墨付き。
  • 業績と株価: 5大商社は「純利益1兆円」の超大台を競い合う凄まじい決算を連発。各社は「株価が下がったら自動的に増配・維持する累進配当」を公約に掲げ、自社株買いをガツガツ行っています。株価はバフェットが買った2020年の大底から数倍に跳ね上がっています。

2026年現在の状況:旬のアイドルなう。

現在の5大商社は、四季報で見ると「PBR1倍台前後、配当利回り3%前後、業績は過去最高益付近、累進配当という命綱あり」という、文句のつけようがない完璧な好財務に見えます。

しかし、シクリカル目線で見ると、ここは「完璧すぎるお祭りのピーク(天井圏)」のようです。

  • バリュートラップではないが「高値掴みの罠」:5大商社は、キャッシュ創出力がバグレベルに高く、ビジネスも多角化されているため、放置されて沈むような「たぬき親父(バリュートラップ)」ではありません。しかし、「これだけ完璧な会社なら、今買ってずっと持っていれば安心だよね」と、この高値圏で飛び乗る個人投資家が後を絶たないのが今のフェーズです。
  • いつエントリーするのか:鉄鋼のサイクル(3〜5年)や石油のサイクル(10年)と同じように、今これだけチヤホヤされている商社株も、数年後に世界的な大不況がきて資源価格が急落すれば、必ず大きな調整局面を迎えます。

商社株の本当の買い時は、「バフェット効果もすっかり忘れ去られ、資源安のニュースで商社が巨額の減損(赤字)を出して世間から『やっぱり商社は市況に振り回されるからダメだ』と叩かれている暗黒期」です。

うーむ、理想を語ると、なかなか買えないな・・・。

しかし妥協は良くない。

バフェットの登場により5大商社がまるで学校に1人だけのアイドル少年のようにキラキラ輝いて見えていましたが、そのサイクルを俯瞰して調べたことで「アイドルにも旬があるしな」と冷静になれた学びとなりました。こっちのアイドルがピークを迎えている間に次にブレイクする地下アイドルを探すスカウト運動こそシケモクバリュー投資ですね。スカウトマンのつもりでタレント名鑑(四季報)を見ながら頑張ります。

きくちゃんスカウトキャラバン:埋もれたアイドルの卵を探せ!

セクターローテーションの監視: 商社が天井にいるということは、世界がインフレ・資源高・金利高の局面にあるということなのだそうです。商社アイドルグループがみんなの注目を浴びてステージで歌って踊って紅白歌合戦に出場している。今の時代の流れが商社を押し上げていると言うことは、正反対のポジションにいるのは誰でしょうか?派手な商社と反対にいる存在。それは、地味な内需株やディフェンシブ株(食品・医療・インフラ・通信)です。商社アイドルが派手に踊り狂ってる間、新橋のガード下で誰にも見向きもされず、投げ銭ももらえず、泣きながらギターを弾き語っています。哀愁ですね。昭和ですね。エモいですね。

海外から資源を引っ張ってくる商社は、資源高で「売るものが高くなって大儲け(紅白出場ウハウハ)」。 一方で、その資源やエネルギー、小麦などを買って国内で製品を作る内需企業は、「仕入れ値が高騰して利益が削られる(ガード下で号泣)」。

今回のブログでの最大の学びそれは、「商社の暗黒期」=「別の株の黄金期」ということですね。今の商社の推し活をするには2020年にやるべきでした。すでに乗り遅れた訳だから、もう今は奴らを見なくていい!!今すぐ紅白歌合戦のテレビを消して、新橋のガード下へGO。次のサイクルで世界が不況になり、資源安になって商社が巨額減損で叩かれる時、原油や原材料のコストが下がって息を吹き返す「シケモク(低PBR)な製造業やインフラ企業」を見つける!それがシケモク・アイドル・スカウト道!

おまけ:バフェットおじさんのお買い物ノート

バフェットが2020年に5大商社を買い漁ったとき、世界はコロナ禍の大底でしたが、同時に「歴史的なドル安・円高(1ドル=100円〜105円近辺)」の時期でもありました。 米ドルを大量に持つバフェットからすれば、「めちゃくちゃ割安に放置されている日本の大企業を、これまためちゃくちゃ割安な円で買える」という、二重の大底(バーゲンセール)だったわけです。

そして2026年現在は、歴史的な円安。商社の業績がバグっているのは、資源高だけでなく「円安による為替ブースト」が強烈に効いているからです。つまり、「円高の極みで海外に仕込んだ事業が、円安の極みで利益が爆発している」のが今の天井圏の正体でもあるようです。

すごいわー 賢いわ バフェットおじさん。

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