2000年代、半導体業界で下働きをしていた頃、リコー電子デバイスのエンジニアの方と仲良くさせていただいていました。
洗浄プロセスの装置エンジニアだったその方は、本当にめっちゃ良い人でした。暇になると電話してきて、「え?何やってんの?最近HOTヨガは行ってんの?なんなん、HOTヨガって?」なんて、どうでもいい話で笑わせてくれたものです。 2週間ほど一緒に作業した際は、最終日に焼肉を奢ってくれて、行きつけのスナックにも連れて行ってくれました。
当時の工場のユニフォームは、ベージュ地に赤と青の線が入ったデザインだった気がします。なんとなくウルトラマンみたいな配色で、「なんか可愛らしいな」と思っていたのを覚えています。ちょっと古びた工場に掲げられた「歩留まり向上、品質改善、安全第一」の横断幕。そこで私は、日本のものづくりの心に触れた気がしました。
その後、半導体業界での仕事のキツさと、実家の借金問題が片付いたタイミングが重なり、6年ほどで会社を辞め、この業界からは離れました。
そして今、株式投資を始めたことで、「あの人は今?」という感覚で当時出入りしていた大企業や機械メーカーの名前を検索するようになりました。この約20年の間に何が起き、どう変わったのか。その軌跡を調べるのは、まるで一本の小説を読んでいるようでとても楽しいです。
私が好きだった「リコー電子デバイス」は、2018年に「日清紡」という会社にグループ入りしていました。
■ 日清紡(3105)の面白い実態
1. リコーの技術は「日清紡マイクロデバイス」へ リコーから引き継いだ電源ICなどのアナログ半導体技術は、新日本無線の技術と2022年に統合され、現在は「日清紡マイクロデバイス」として日清紡グループの最大の収益柱に成長しています。あの頃の「堅実で質の高い技術」は、今この「日清紡」という看板の下で、自動車や産業機器向けにさらにパワーアップして生き残っていました。
2. 実は「元・世界一のブレーキ屋」からの大脱皮 日清紡の看板は長らく「繊維」でしたが、実は少し前まで自動車用ブレーキ摩擦材で世界シェアトップクラスのメーカーでした。しかし、ここがこの会社の凄いところ。EV化などの時代の変化を見据え、2023年にその世界最大のブレーキ事業を売却してしまったのです。過去の栄光を潔く手放し、私が下働き時代に出会った「半導体」や「無線」といったエレクトロニクス分野へ完全に全振りしている、驚異の脱皮企業でした。
3. へそくりは、日本橋の不動産 2025年12月期時点で、日清紡ホールディングスの総資産は6,678億円、純資産は2,873億円。長年保有している東京都心の不動産は、簿価と時価に大きな差がある(高い含み益がある)と長年市場から推測されています。
【現在の指標と所感】
自己資本比率が43%なので50%は下回っていますが、財務状況を見ると安心感があります。
- 自己資本比率:43%
- 利益剰余金:1827億円
- 有利子負債:1795億円
- 営業キャッシュフロー:493億円
- 現金同等物:440億円
- 業績:2024年から2027年予想にかけて増収・概ね増益
- 配当利回り:2.04%
- 社長:石井康二社長(2025年就任)コーポレートガバナンス室長や経営戦略センター長を歴任した、「仕組みと戦略のプロ」。
PBRは四季報の時点では1倍割れだったのですが、オンラインの最新情報では「1.12倍」になってしまっています。最近のハイテク株の流行りや、事業ポートフォリオを大胆に入れ替えた変革の姿勢が評価され、どうやら市場に拾われ始めたみたいですね。
残念ながら、シケモク卒業ですねー!
でも、過去の成功にしがみつかず、本当に中身の詰まったエレクトロニクス企業へと生まれ変わった良い会社なので、もし今後相場全体が暴落するようなタイミングがあれば、すかさず拾いに行きたい絶賛ウォッチ銘柄です。

きくちゃんの学び:
あ、日清紡ってほぼJRC(通信)でできてるんだ・・・。
日清紡って、もう完全に通信ハイテク企業なのね。
時代に合わせて「繊維」→「ブレーキ」→「マイクロデバイス」+「無線・通信」って馬を乗り換えてるってことか。
名前は朴訥な昔ながらの繊維業の会社を装ってるけど、走れる若い馬を探してどんどん乗り換えて行く投資家集団みたいな会社なのね。
とんでもねぇ ギャップ萌え。



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