【観念し始めたドケチたぬき】【1716第一カッター】地味だけど国策!インフラ修繕株は資産防衛の味方

シケモク企業図鑑

「第一カッター興業」という名前だけだと、文房具のカッターを作っている会社なのか、それとも何かをザクザク切る工場なのか、いまひとつピンとこないです。

この会社を一口で言うなら、「日本のインフラ(道路・橋・ビルなど)が寿命を迎えたときに、お医者さんのようにメスを入れて手術をする会社」なのだそうです。

① 何を切っているの?(主力:ダイヤモンド工法)

彼らが切っているのは、紙や布ではなく、「超ド級に硬いコンクリートや鉄筋」です。

例えば、古くなった高速道路の架け橋を架け替えるときや、トンネルを補修するとき、そのまま重機で壊そうとすると、ものすごい騒音と振動が出て、周りの建物や道路にヒビが入ってしまいます。

そこで登場するのがこの会社の「ダイヤモンド工法」です。 人工ダイヤモンドを散りばめた特殊な丸ノコやワイヤーを使い、硬いコンクリートを「豆腐を包丁で切るように」静かに、かつミリ単位の精度で綺麗に切り出します。 周りに迷惑をかけず、安全に街をリフォームするために欠かせない技術なのです。

② どうやって削っているの?(特殊技術:ウォータージェット工法)

もう一つの武器が、強力な水の力で削る「ウォータージェット工法」です。

これは、新幹線が通る高架橋や、高速道路の床板などをメンテナンスするときに使われます。 ものすごい超高圧の水を噴射して、「コンクリートの奥にある鉄筋(骨組み)を一切傷つけずに、表面の劣化したコンクリートだけを綺麗に削り落とす」という神業のような技術です。

中の鉄骨を傷つけないから、その後に新しいコンクリートを流し込めば、お家をリフォームするように、インフラの寿命を何十年も延ばすことができます。

③ なぜこのビジネスの「ビジョン」が明るいのか?

日本中の道路、橋、トンネル、下水道の多くは、1960〜70年代の高度経済成長期に一気に作られました。つまり、今まさに一斉に「寿命(人間の還暦のようなもの)」を迎えてボロボロになりつつあります。

  • 国策としての需要: これらは放置すると崩落の危険があるため、国や自治体は絶対に予算を作って直さなければなりません。景気が悪くなっても、絶対に消えない仕事(国策ビジネス)なのです。
  • 新規参入が難しい: 巨大なコンクリートを現場で安全に切り取るには、特殊な大型機材と、熟練した職人技(ノウハウ)が必要です。だから、ライバルが急に現れて仕事を奪われるリスクが非常に低い、守られた市場です。

財務

  • 自己資本比率:85.4%
  • 利益剰余金:191億円
  • 有利子負債:1.7億円
  • 営業キャッシュフロー:16億円
  • 現金同等物:82億円
  • 業績:増収だが減益
  • 営業利益率(営業利益÷売上高):
  • 配当利回り:2.53%
  • PBR:0.90
  • 社長:安達昌史(年就任)

財務面・指標のチェック(四季報より)

四季報の数字を見ると、非常に強固なディフェンシブ特性を持っていることが分かります。

  • 鉄壁の自己資本比率: 85.4% という極めて高い水準です。無借金経営に近く、倒産リスクや財務的なお家騒動・買収リスクに対して「鉄壁の体制」と言えます。
  • 豊富な手元資金: 利益余剰金が 19,113百万円(約191億円) あるのに対し、有利子負債はわずか 173百万円(1.73億円)。ネットキャッシュ(現預金ベース)で考えても超割安な「ネットネット株」に近い性質を持っています。
  • 配当利回り: 予想配当が 40〜45円 となっており、現在の株価(1,397円)で計算すると約2.86%〜3.22%。下値の支えとなる十分な利回りです。

2. 業績と今後の見通し

  • 事業の安定性: ダイヤモンド工法を用いたコンクリート構造物の切断・穿孔(穴あけ)や、ウォータージェット工法が主力です。インフラの老朽化に伴う維持修繕、高速道路の更新工事などは、景気に左右されにくい「国策」に近い底堅い需要があります。
  • 足元の業績: 四季報の【上振れ】という見出しの通り、ビルメンテの落ち込みを高速道路の補修工事などがカバーし、営業利益は会社計画を上回るペース。26年6月期、27年6月期ともに利益は安定的に推移する予想(1,300〜1,600百万円台)となっています。

3. チャート(月足)から見る投資タイミング

月足チャートは、中長期の買い場を探る上で非常に綺麗な形をしています。

  • 大底からの回復: 2023年初頭に 996円 の底をつけてから反転し、現在は 1,397円
  • 下値支持線(サポート): チャート上の長期移動平均線(緑のライン:1,351.5円辺り)が綺麗に下値を支えています。また、直近の安値も 1,240円 あたりでしっかり止まっており、ここを大きく割り込むリスクは現状低そうです。
  • 上値の節目: 過去に 1,600円1,668円 といった高値をつけており、業績の進捗次第ではこの 1,500円〜1,600円 のレンジへ向けた戻りを試す展開が期待できます。

現在の1,300円台後半という株価は、移動平均線付近で推移しており、中長期視点でコツコツ拾っていくには悪くない水準に見えます。

たぬきチェック:「筋金入りのどケチたぬき」が、人間の言葉を覚え始めているなう。

なぜこの会社が「筋金入りのたぬき」だったかというと、過去の配当性向の推移が恐ろしいからです。

  • 2016年:6.1%
  • 2018年:9.6%
  • 2020年:9.3%

利益を100億円稼いでも、株主には6億〜9億円しか配らず、残りの90億円以上をせっせとタンスにしまい込んでいたわけです。配当性向20%以下を「たぬき」と定義するなら、当時の彼らは「漆黒のたぬき」でした。

💡 現在の姿:東証に怒られて「人間モード」に突入中

しかし、2026年現在の彼らは必死に変革しようとしています。 中期経営計画で明確に「配当性向30%以上を目指す」と宣言し、直近では配当性向を約34%(年間配当40円、利回り2.8%前後)まで一気に引き上げてきました。

過去の歴史から見れば、彼らにとって「配当性向30%超え」は、清水の舞台から飛び降りるほどの猛烈な株主還元モードです。本業がインフラ老朽化対策という「国策」にガッチリ乗っているため業績自体が非常に好調(増収増益ペース)で、稼ぐ力はピカピカです。

✍️ シケモクハンターの結論:化けの皮が剥がれる手前

マルタイが「頑固ご隠居」、アクシーズが「猛ダッシュで人間になった金たぬき」なら、第一カッター興業は「長年タンスを守り抜いてきたけど、そろそろ観念してチャックを開け始めたばかりのドケチたぬき」です。

自己資本比率85%という超巨大なタンス(純資産)を抱えたまま、配当性向をさらに上げたり、自社株買いに本腰を入れ始めたりしたら、PBR1倍に向けて株価が「化ける(脱皮する)」ポテンシャルは十分に秘めているようです。

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