スーパーで卵の値段を見て「日本オワタ」と嘆く前に
最近、テレビをつけてもネットを見ても、 「円安で日本円は紙くずになる!」 「日本はもうオワコン!」 という大合唱でございますね。
ユーチューバーや芸能人が海外に行って、現地のピザやジュースを買っては「高すぎる!日本円オワタ\(^o^)/」みたいな投稿をしまくっていて、 「今の為替で海外に行けるようなリッチな奴が、庶民の不安を煽るような動画出して再生数稼いでんじゃねーよ」 と、心から軽蔑の眼差しを向けているきくちゃんです。
私も田舎に住む庶民の主婦として、近所のスーパーでマヨネーズと卵の値段を見るたびに、「ぐぬぬ……」とため息が出る気持ちはよーく分かります。家計を預かる身としては、日々の物価高は地味にボディブローのように効いてきますから。
でもね、ちょっと待ってくださいな。 みんな、1ドル=75円〜80円台だったあの「超円高」の時代の地獄をもう忘れちゃったんでしょうか?
1. 昔の「超円高」は、財布じゃなくて「息の根」を止めにきてた
あの頃の日本って、本当に暗闇でした。
「円が強い!海外旅行がお得!ブランド品が安い!」なんて浮かれていたのは最初だけ。 工場はバタバタと海外(主に中国)へ逃げ出し、地方の産業はスッカラカンの空洞化。 就職氷河期で若い子たち(当時の私)の仕事はなくなり、お父さんたちのボーナスは削られ、日経平均は8,000円台でヨロヨロ。
要するにね、
- 今の円安の痛み: 「スーパーの買い物が痛い(生活費が上がる)」
- 昔の円高の痛み: 「そもそも働く場所と給料が消える(収入源が断たれる)」
どっちも痛いけれど、昔の円高は「息の根を止めにくる痛み」だったんです。 「強い円=豊かな国」なんてのは、昭和のバブルの後遺症が見せているただの幻覚でございます。
本当、バブル世代の人らの感覚ってってズレてるよね。ナルシストっていうかさぁ。ノリばっかりで教養がないっていうかぁ。と、本質の在り処を心の中で確認するきくちゃんです。
2. 世界という「大人の雀卓」で何が起きていたか?
そもそも為替なんてものは、日本の通信簿というよりは、親分(アメリカ)の都合で回っている雀卓の席順みたいなものです。
歴史をざっくり振り返ると、こんな感じ。
【第1幕】調子に乗った日本、ハシゴを外される(プラザ合意)
冷戦時代、アメリカ親分は「共産主義の防波堤」として日本を可愛がり、せっせと工場をやらせてくれました。 ところが日本が真面目に働きすぎて、半導体や車でアメリカのシマを荒らし始めたもんだから、親分がキレた。 「お前ちょっと調子乗りすぎ。はい、円高ね!(1985年プラザ合意)」 これで日本はギャンブルの勝ち席から引きずり下ろされ、バブルが弾けて「失われた30年」の冬眠生活に入りました。こう考えると為替は、ただの道具。親分が、子分たちの首を絞めたり緩めたりするためのロープなのよね。高いから子分が優秀とか低いから子分がバカとかそういうことじゃないわけ。
【第2幕】鄧小平のおっちゃんを「世界の工場」へ
日本をシメた親分は、次に中国(鄧小平の改革開放)に目をつけました。 「お、中国は人件費が激安だな!よし、世界の工場はお前がやれ!」と、世界中のお金と工場を中国に集めたわけです。 日本企業も「日本にいたら円高で死ぬ!」と、こぞって中国に工場を建てに行きました。日本はずーっとお留守番(デフレ)です。
3. そして今:30年ぶりに「おい日本、席に戻れ」と言われている
で、時は流れて現在。 今度は中国が力をつけすぎて、アメリカ親分の覇権を脅かすライバルになっちゃいました。
親分は考えます。 「中国に頼りすぎるのヤバいな……。工場を引き上げたいけど、どこに行こう?」 「そうだ、隣に真面目で、治安が良くて、技術があって、30年のデフレと円安で人件費と土地がめちゃくちゃ安くなった国があるじゃん!」
……そう、日本です。
TSMCが熊本に巨大工場を作ったり、海外のマネーが日本の不動産や株を買い漁っているのは、日本の国力が落ちたからじゃありません。
30年間の冬眠を経て、「高品質なのにバーゲンセール状態の、使い勝手が最高な国」として、再び世界のサプライチェーンの主役に無理やり叩き起こされている最中なんです。 言ってみれば、今の日本は「令和版・鄧小平の中国」みたいなポジションにセットされたわけです。『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の熱狂の中で育ち、座っているだけでエスカレーター式にお給料が上がっていった団塊やバブル世代の皆さんからしたら、今の『安売りされる日本』はプライドが許さない状態なんでしょうね。知らんけど。
4. 嘆く客になるか、安さを活かす商売人になるか
「円安だから日本は終わり」と叫んでいる人は、ずーっと「日本円の給料をもらって買い物をするだけの消費者目線」で世界を見ています。それだと確かに物価高はただの災難です。
でも、資本やビジネスの目線で見ると景色は180度変わります。
世界中から観光客が押し寄せ、海外の投資マネーが流れ込み、輸出やインフラ企業はウハウハ。 失われた30年の清算が終わって、巨大なマネーが日本に再配置されようとしている。
この大転換期に、「オワコンだー」と耳をふさいで何もしないのはあまりにもったいない!
おわりに:お陰様でわかりました、の精神でシケモクを拾う
歴史の振り子はいつだって極端から極端へ揺れるものです。 大衆が「円高最高!」と浮かれていた頃に地獄の種が蒔かれ、大衆が「円安で日本終了!」と絶望している今、次の大波が足元に届いています。
日々の買い出しでモヤモヤしたら、「なるほど、これが30年分の清算の痛みか。お陰様で構造がよく分かりました」と心の中でつぶやいて、
- 割安に放置されている、地味だけど潰れないシケモク企業をコツコツ拾う
- 自分の手元にある技術や仕事で、外から価値を引っ張ってくる
- 手元の円と、世界に広がる資産のバランスを淡々と整える
田舎の片隅で、美味しいお茶でも飲みながら、この大掛かりな「世界の席替え」を飄々と眺めて、ちゃっかり波に乗ってやろうじゃありませんか。
そして最後に、、、うちらが今経験しているインフレって本当に大したことないです。
世界のジャイアンである覇権国アメリカのインフレはもっと酷いです。
日本にもそれが近々来るんだろうなと思うとゾッとしますが、ギャンブルの勝てる席に座らされたものは、成長の果実だけで無く、勝者の病も引き受けなければいけないのです。
そう思うと、生活防衛費以外の資金を投資に分散することの堅実さ・大事さを納得できます。
円安で日本はオワコン!』と不安を煽って再生数や情報商材を稼ぐ煽り芸人たちと、それにまんまと乗せられて絶望している人たちの声はガン無視して、外貨を得るために淡々と労働&インフレ防衛のために実態のある会社への投資をしていきたいと思います。

